他人からの迷惑に耐え忍ぶこと
「人様に迷惑をかけてはいけません」
この台詞はこれまで幾度となく耳にしてきた。言っていることは全くその通り、何一つ反論の余地はない。・・・ように見える。
果たして本当にそうだろうか?
「迷惑をかけてはいけない」と強く思っている人ほど、「他人から受ける迷惑を赦せない」のではないかと思う。
人間は元々、生まれてきた瞬間から、まわりに迷惑をかけながら生きていく、不完全な生き物なのである。もちろん、人間は成長するにつれ、少しづつ大人として迷惑をかけない振る舞いができるようになる。しかし完全にはならない。
他人から受けた迷惑を、頭から否定し、非難ばかりしていては心が休まることはない。次第に小さな事までも気になって、殺伐とした気持ちで過ごすようになってしまうだろう。
仏教には「忍辱(にんにく)」という教えがある。「他人からの迷惑を耐え忍びなさい」という教えだ。
「迷惑かけました!ごめんなさい!」、「いいよ、いいよ、お互い様!」
昨日降りかかってきた迷惑が、明日誰にふりかかるかわからない。「お互い様!」そう言い合えれば、自然に「迷惑も大した迷惑と感じない」潤いのある世の中になるような気がしている。